三藤FP社会保険労務士事務所

2021年 05月 16日

【遺族年金の請求】重婚的内縁関係の遺族年金を請求し支給決定しました!

こんにちは。FPと社会保険労務士の二刀流で活動しているfp-keikoです。
この度ご縁により、遺族年金の請求をさせていただきました。

初めてお客様(Tさん)にお会いしたのは2月でした。ご紹介により、遺族年金の請求をお願いしたいとのお話しでした。遺族年金は請求書は細かく、ご高齢の方の請求ですとお一人で記載するのは難しいかと思いますが、年金事務所の相談窓口にご来所いただけると、相談員がアドバイスをしてくれます。ですが、今回のケースはそもそも遺族年金を受給できるかどうか分かりませんでした。

Tさんからのお話しでは、内縁関係の夫が亡くなり、遺族年金が受けられるのかもしれないが、重婚的内縁関係でも遺族年金が受給できるのだろうか?というご相談でした。

まず、内縁関係とは、婚姻届を提出していない状態で、夫婦と同様の関係を有し共同生活を送る方を指し、「事実婚」とも言います。実際に戸籍を入れている状態と同程度に夫婦関係があると認められれば、内縁(事実婚)でも法律婚と同じように年金を受けることができます。

平成23年3月23日年発0323第1号厚生労働省年金局長通知の「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」事実婚関係について以下のように記載されています。

事実婚関係
認定の要件について、事実婚関係にある者とは、いわゆる内縁関係にある者をいうのであり、内縁関係とは、婚姻の届出を欠くが、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係をいい、次の要件を備えることを要するものであること。
① 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること。
② 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。

karakama-shigeo.com/syahoken/tuuchi/H230323-0323-1.pdf

では、「重婚的内縁関係」とは、戸籍上の配偶者と離婚していない方と内縁(事実婚)関係にある状態であることをいいますが、同じく平成23年3月23日年発0323第1号厚生労働省年金局長通知の「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」重婚的内縁関係について以下のように記載されています。

重婚的内縁関係
認定の要件について、届出による婚姻関係にある者が重ねて他の者と内縁関係にある場合の取扱いについては、婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることからして、届出による婚姻関係を優先すべきことは当然であり、従って、届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定するものとすること。

なお、内縁関係が重複している場合については、先行する内縁関係がその実体を全く失ったものとなっているときを除き、先行する内縁関係における配偶者を事実婚関係にある者とすること。
① 「届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているとき」には、次のいずれかに該当する場合等が該当するものとして取扱うこととすること。
ア 当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが戸籍上離婚の届出をしていないとき
イ 一方の悪意の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって、その状態が長期間(おおむね10年程度以上)継続し、当事者双方の生活関係がそのまま固定していると認められるとき
② 「夫婦としての共同生活の状態にない」といい得るためには、次に掲げるすべての要件に該当することを要するものとすること。
ア 当事者が住居を異にすること。
イ 当事者間に経済的な依存関係が反復して存在していないこと。
ウ 当事者間の意思の疎通をあらわす音信又は訪問等の事実が反復して存在していないこと。

karakama-shigeo.com/syahoken/tuuchi/H230323-0323-1.pdf

つまり、重婚的内縁関係にある方を「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として認定するには、届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっていることその状態がおおむね10年程度以上継続していることが必要であり、総合的に勘案して事実婚関係の認定を行うものとされています。

Tさんのお話しをお伺いすると、30年以上内縁(事実婚)関係にあり、戸籍上の配偶者との関係がなくなっていたとのことでした。ですが、諸事情により、書類等がほとんど手元になかったこともありましたが、亡くなった方の最後の年金を受けたいとの希望を叶えたいと依頼をお引き受けすることにしました。

遺族年金の請求には、請求書のほかに以下の添付書類が必要となります。
①戸籍謄本(受給権発生後のものに限る)
②世帯全員の住民票(受給権発生後のものに限る)
③死亡した者の住民票の除票
④請求者の所得証明等(生計維持要件確認のため)
⑤死亡診断書等(死亡の事実及び死亡原因確認のため)
⑥受取先金融機関の通帳等(本人名義)
ですが、住民票や戸籍謄本をTさんが取得することはできず、職権で請求することにしました。

幸いなことに、死亡診断書、葬儀で喪主だった書類や費用の領収書が残っていました。さらに、30年以上、世帯は違うものの、何度か転居しても同日に同じ住所に移っていることが、住民票で確認ができ、その他、手元にある資料を添付しました。

長期戦になるかと思った案件でしたが、4月下旬、一度の請求でTさんの手元に遺族年金証書が届きました。早い支給決定にビックリしたと同時に安心しました。

Tさんから、「今まで色々あったけれど、連れ添った方の最後の繋がりである遺族年金を受けることができて安心しました。30年を認めてもらえあの人に報告ができるのでとても嬉しい、ありがとうございました」とお礼の言葉をいただきました。

人生100年といわれるようになり、長い人生の途中にはさまざまな出来事もあるでしょう。色んなご意見があるかもしれませんが、Tさんが過ごされた30年はかけがえのない人生であり、その証である遺族年金の請求をさせていただいたご縁に感謝しています。

※本投稿はお客様(Tさん)のご理解、ご協力のもと掲載させていただいております。



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